こんにちは!証券兄さんです。
ソフトバンクの孫氏がバフェット氏とマローン氏と協議を行ったとのこと。その協議は何についての事なのか、今後どういう風になるのか、そもそもバフェットとマローンとは誰なのか詳しく書いていきたいと思います。
米携帯電話事業者スプリントの会長であるソフトバンクグループの孫正義社長は、資産家ウォーレン・バフェット氏およびジョン・マローン氏とスプリント出資について協議したと、関係者が明らかにした。
スプリントとは?
スプリント・コーポレーションは、アメリカの加入者数第4位の携帯電話事業者です。2016年9月末での加入者数は、5919万人にも上ります。
このスプリントがソフトバンクに買収されたのが、2013年7月のことでした。
詳しくは証券兄さんの以前の記事
<ソフトバンク「営業利益3兆円突破」がまもなくか>をご覧ください。
その記事の中で”スプリントの業績が本格的に回復した場合、ソフトバンクをとりまく環境は劇的に変化することは間違いないでしょう。”と証券兄さんは書きました。
スプリント買収のおさらいと今回のニュースがいかに好材料かを書いていきます。
スプリントの買収について
かいつまんでのおさらいになります。
スプリントは米国の大手通信会社で、ソフトバンクが2013年に216億ドル(当時のレートで1兆8000億円)で買収しました。当時は超高額な買収で、利益が本当に出るのか疑問視する声も多く上がってました。
米国の通信市場は、ベライゾンとAT&Tの2社でシェアの6割以上を占める構図となっており、それぞれ1億人強の利用者(すべての契約を含む)を抱えています。
一方、スプリントは全米4位(買収した当時は3位)の通信会社だが、契約者数は当時5800万人となっており、上位2社と比較するとかなり見劣りがするものです。
実はソフトバンクは、スプリントの買収に成功した場合、続けて全米3位の通信会社であるTモバイルUSを買収する計画でした。つまりスプリントの買収は単体ではなく、TモバイルUSとのセットで初めて意味を持つことになります。
だがこの計画に対して米当局の反応はかなりネガティブでした。米連邦通信委員会(FCC)と司法省の寡占に対する警戒を解くことはできず、TモバイルUSの買収は白紙に戻すこととなったのです。
ところがトランプ政権が誕生したことで風向きが大きく変わりました。アメリカ・ファーストを掲げるトランプ氏は、孫氏を賞賛し、これによって当局の雰囲気も大きく変わったといわれてます。
少なくとも米国の株式市場はソフトバンクがTモバイルUSを買収することについて、すでに織り込み済みとなっていると言われています。
もしソフトバンクがTモバイルUSの買収に成功した場合、スプリントと合算した契約者数は約1億3000万人となり、ベライゾンとAT&Tに肩を並べることになる。
という状況です。
そこに今回、資産家のウォーレン・バフェット氏およびジョン・マローン氏とスプリント出資について協議というニュースです。TモバイルUSを買収するのが近づいてきたと言えるでしょう。
ウォーレン・バフェットとは?
伝説の投資家ともいえる方です。この方については証券兄さんが尊敬しすぎて以前記事をたくさん書いたので、よかったらどうぞ。
<伝説の投資家 ウォーレン・バフェット その① バフェットの半生>
<伝説の投資家 ウォーレン・バフェット その② バフェットの投資手法>
<伝説の投資家 ウォーレン・バフェット その③ バフェットの銘柄>
<伝説の投資家 ウォーレン・バフェット その④ 不動産投資>
<伝説の投資家 ウォーレン・バフェット その⑤ 5つの至言>
バフェット氏の実績もさることながら、注目したいのはその投資に対する考え方です。
①投資すべき企業が行っている事業の内容を正確に理解できること
②長期的に良い業績を保つことができること
③経営者にきちんとした経営能力が備わっていること
④魅力的な株価であるということ
今回のスプリントへの追加出資はそれらを満たしているということでしょう。つまりソフトバンクは、伝説の投資家から見ても良い投資先ということです。
ジョン・マローンとは?
バフェット氏に比べて、あまり聞いたことがない方かと思います。その来歴から、投資に対する考え方についてご紹介します。
マローン氏は「リバティ・メディア」というケーブルTVの会長を務めています。ディスカバリー・チャンネルやテレビ通販のQVCをはじめ、エンターテインメントやスポーツまで幅広い分野でのケーブル事業を展開しています。
1941年に東部コネチカット州で生まれ、父親はエンジニア。エール大学では電気工学と経済学を学び、研究者としてAT&Tのベル研究所に入所しています。
その後、コンサルティングで有名なマッキンゼー&カンパニーに入社。退社後、電気工学の専門技術を生かし、通信会社の社長に就きました。最初から投資家としての道を歩んだわけではありません。
また、1990年には番組供給事業を統括するリバティメディアを設立、1999年のAT&TによるTCI買収の際にTCIの海外部門(2004年、リバティメディア・インターナショナルとしてスピンオフ、翌2005年にリバティメディア傘下のUnitedGlobalComと合併、リバティ・グローバルとなる)やメディア投資部門・TCI Ventures Groupを統合、2001年、AT&Tからスピンオフしています。
この方が有名なのは、
全米一広い土地を所有する男
だからです。米国に「ランド・リポート(土地報告書)」という季刊出版物があります。全米の土地所有者100位のリストを毎年公表しており、そのトップにマローン氏の名前が挙がっているのです。
以前はCNN創業者のテッド・ターナー氏がきていたが、マローン氏がメイン州に広大な土地を購入し、トップの座につきました。
総面積は約8万8000平方キロ。北海道(8万3000平方キロ)よりもやや広い土地を所有しています。米国で言えば東部ロードアイランド州の約3倍にあたります。
さすがに1カ所でこれだけの土地は所有できず、自宅のあるコロラド州をはじめ、ニューメキシコ州、ワイオミング州、メイン州を含む9州で森林や牧場を持っています。
世界中に大地主は少なくないですが、多くの地主は先祖代々の土地を世襲しているが、マローン氏は自身で買い足していきました。しかも1代で大国を築き上げているのです。
そんなマローン氏のメディア投資スタイルは、新興メディア事業者の立ち上げに出資し、成長したところで他のメディア企業に売却(または株式交換)する。
またはスピンオフによる株式公開で収益を上げることで知られています。
前者の例としてはFOXスポーツネット(後述)やブラック・エンターテインメント・テレビジョン(BET、2000年バイアコムに売却)、テレムンド(2001年NBCに売却)。
後者の例としてはディスカバリー・コミュニケーションズ(リバティメディアの持ち分をディスカバリー・ホールディングとしてスピンオフ、2008年、他の所有者の持ち分と統合し新たな持株会社・ディスカバリー・コミュニケーションズを設立)、リバティ・エンターテイメント(2009年11月ディレクTVグループと合併)などがあります。
そんなメディア界の第一人者が、スプリントの出資を提案しています。伸びしろがとても大きいと判断したのではないでしょうか。
関係者によると、バフェット氏は100億-200億ドル(約1兆1250億-2兆2500億円)の出資を検討しています。一方、マローン氏も追加で資金を投じる可能性があるという。
ソフトバンクはスプリントの株式83%を保有する。今回の出資の一部はこの株式の希薄化につながる一方、残りは現金による財務力強化につながるでしょう。
孫氏はアイダホ州サンバレーで開催されたアレン社主催の年次会合で、バフェット、マローン両氏と個別に会談したという。14日の米株式市場ではスプリントが一時8%を超える値上がりとなった。スプリント出資に関する孫氏の協議については、ウォールストリート・ジャーナル紙が報じていました。今後の情報に期待ですね。あくまでご参考までに。
今回も読んでいただきありがとうございました。疑問点や質問等がありましたらご意見下さい。次回もよろしくお願いします!