こんにちは!証券兄さんです。
トランプ大統領が、大統領選で「法人税の減税」・「オバマケアの廃止」・「メキシコ国境での大規模公共事業」などなど公約として掲げておりましたが、オバマケアに関する新しい動きがありました。
法人税の減税に続く、オバマケアについて今回まとめていきたいと思います。
そもそもオバマケアってなに?
国民皆保険という言葉は、お聞きになったことがあるかもしれません。
例えば日本では、国民には原則として、どこかの健康保険組合に加入することが義務づけられています。
逆に言えば、どんな重い病気になっている人でも、それを理由に健康保険への加入を断られることはありません。
健康保険に加入していると、治療を受けたときに、自分で負担する費用は一部ですみます。
さらに、自己負担額には収入に応じた上限が決まっていて、非常に高額な医療が必要になった場合でも、その額以上を負担する必要はありません。
このような制度を作ることで、収入が多い少ないによらず、だれでも命を守る医療サービスを受けられるようにしよう、というのが国民皆保険制度(UHC)の考え方であり、現在、先進国の多くはこの制度を導入しています。
しかしオバマケア以前のアメリカは例外でした。
医療保険への加入は義務ではなく、希望する人は職場を通じて民間企業が募集する医療保険に加入することが一般的でした。(高齢者や貧困層は、国が運営する公的な医療保険に加入可能)
医療保険に入るかどうかを強制されない「選択の自由」がある一方、医療保険を民間企業が運営している以上、どうしても儲かるかということがポイントに入ってきます。
医療保険に入るためにかかる保険料が高額だったり、カバーできる病気が限られていたり、さらには「すでに病気を持っている人は加入できない(保険料がすごく高くなる)」という決まりがありました。
医療保険への加入が義務ではないこと、そして保険料が高額であることなどから、オバマケア以前は全体の16%(およそ4400万人)が医療保険に加入していない「無保険者」でした。
さらにアメリカでは、国民皆保険制度が無いこととも関連して「医療の高額化」が長年の課題になっていました。
アメリカに旅行に行ったことのある方は、「アメリカでは医療費が非常に高いので、海外旅行保険に加入したほうが良い」と勧められたことがあるかもしれません。
例えば外務省HPによると、アメリカでも特に医療費が高いニューヨーク・マンハッタン区で盲腸(虫垂炎)で8日間入院したケースで、治療費として7万ドル(800万円程度)を実際に請求されたケースがあります。
日本では同じ治療を数十万円程度(自己負担はその3割程度)で受けられますので驚きです。
国民皆保険制度をとっている日本では、医療機関で処方される薬剤や、医師などの人件費を含んだ手術などの価格は、すべて国が決定しています。
一方でアメリカでは、そのような縛りがゆるく、製薬会社や医療機関の意向によって価格が吊り上がってしまう傾向があります。
全く同じ薬なのに、日本における価格とアメリカにおける価格が大幅に違うケースは、珍しくありません。
こうした状況の中、「より多くのアメリカ人に手ごろな医療保険を提供し、医療と保険の質を高めつつ、医療保険企業を規制して医療コストを減らす」ことを目的にバラク・オバマ前大統領が進めた改革がオバマケアです。
主な保険制度の変更点は、次のようなものです。
1)公的医療保険がカバーする範囲を拡大する
2)民間の医療保険に対する規制を強める
3)医療保険に入ることを「義務化」する
オバマケアの是非はおいておき、国民の負担を減らすためにオバマケアが始まり、オバマケア補助金なるものが国から出されるようになったのです。
オバマケア終了か…?
トランプ米政権は12日夜、医療保険制度改革法(オバマケア)の下で保険会社に支給されているコスト・シェアリング・リダクション(CSR)と呼ばれる連邦補助金の支払いを直ちに停止すると発表しました。
CSRは、オバマケアの制度を利用して保険に加入した低所得者の自己負担支払いを支援する補助金で、いわゆるオバマケア補助金です。
以前から、その合法性が争われていました。保険会社は支給が打ち切られた場合、保険料を大幅に引き上げるか撤退すると表明しています。
ホワイトハウスは声明で、オバマケアの下で保険会社へのCSR支払いに充当されている予算はないとの結論に司法省と厚生省が達したと説明しました。
「こうした不法な支払いを通じた保険会社の救済は、前政権が破綻した制度を支えるために法律を避けて通り、税金を乱用したことを示す例の一つだ」としました。
ハーガン厚生長官代行とメディケア・メディケイド・サービスセンター(CMS)のトップのシーマ・バーマ氏は、CSRの支払いを移行期間なしで直ちに停止すると表明。
次の支払いは来週予定されていました。
このオバマケア補助金は、10年間で1750億ドルが予定されていました。これは、日本円で年間約2兆円です。
その分の予算を公共事業に回す可能性が出てきたと証券兄さんは感じています。
今回の件で、保険会社各社は大打撃を受け株価が大きく下がることが予想されます。お持ちの方は注意が必要です!
特に、オバマケアで100万人以上の保険プログラムを提供するモリーナ・ヘルスケア(MOH.N)をお持ちの方は注意してください。
モリーナ・ヘルスケア(MOH.N)
株価:63.42 USD 2017/10/13
PER:68.19倍
PBR:2.19倍
配当利回り:-
参照:yahooファイナンス
一方、オバマケアでの個人保険市場から撤退しているユナイテッドヘルス・グループ(UNH.N)は上昇すると思われます。
以前、補助金廃止の情報が出回ったさいに安心感から株価が上昇していたため今回も同様の動きになると証券兄さんは思います。
ユナイテッドヘルス・グループ(UNH.N)
株価:192.92 USD 2017/10/13
PER:26.18倍
PBR: 4.80倍
配当利回り:1.55%
参照:yahooファイナンス
あくまでご参考までに。
今回も読んでいただきありがとうございました。疑問点や質問等がありましたらご意見下さい。次回もよろしくお願いします!