こんにちは!証券兄さんです。
先日、海外在住者さんから401kについての質問をいただきました。コメント本当にありがとうございます!
コメント欄でお答えすると、非常に長くなってしまいそうなので今回記事で返信させていただきます。
海外在住者さんからの質問
証券兄さん 様
いつも、為になり分かりやすい記事ありがとうございます。非常に勉強になっています。
米国401kについて質問です、元本を保護する有効な方法(景気の後退、株式市場のクラッシュ等に左右されない)をアドバイス頂きたいのですが、自分の401Kアカウント現況はAsset class: capital preservation 100%, Position: Stable value common trust fund 100% となっていますが、これで、自分が積み立てた分と雇い主のマッチング分は保護できているのでしょうか?capital preservation 100%であるので、間違いないとは思うのですが、専門家から確証が貰えたらと思い質問しました。仮に、私の理解が間違っていたら、ロールオバーの際にどうすれば良いかを含めアドバイスお願い致します。401kに関しては増えなくてもよいので、積み立てた分が減らなければ良い考えでやっています。よろしくお願いします。
というコメントを頂きました。401kとは確定拠出年金のことで、日本ではiDeCoの名前で最近有名になっていますね。
自分で投資方針を決めて、積み立て投資を行うものです。会社の補助金や、税制上のメリットが大きいものですが
「何に(どのように)投資したらよいかわからない!」
という方も多いです。自分にあった投資方針が一番なのですが、なかなかわからないのが現実です。今回は、コメントに次のように答えさせていただきました。
海外在住者さん
コメントありがとうございます!米国401kについて質問を頂きましたので、回答させていただきます。
元本を保護する有効な方法(景気の後退、株式市場のクラッシュ等に左右されない)とのことですが、
海外在住者さんがお選びになったように、Asset class: capital preservation 100%, Position: Stable value common trust fund 100%
というもので、間違いないと思います。詳細なファンドの中身がわからないため断言はできませんが、
元本保全型のファンドは往々にして、国債や短期債がほどんどのため「銀行に預金する」ものに非常に近いものとなっています。
銀行預金は、景気の後退、株式市場のクラッシュ等に左右されないという点においては非常に強いと証券兄さんも思います。そのため、海外在住者さんの積み立てた分と企業側のマッチング分は問題なく保護できていると思いますよ。
あくまで、ファンドの内容などがわからない上での一意見としてご参考にして下さい。今後とも応援よろしくお願いします!
そのようにお答えしたら、改めて次のようにコメントを頂きました。確定拠出年金の考え方の参考になると思い掲載させていただきます。
401k(確定拠出年金)のファンドの考え方
証券兄さん 様
早速、回答ありがとうございます。
ファンドの内容(以下が内容だと思いますがが素人なのですみません)確認したところ、
*TRUST INFORMATION
Inception Date of Trust September 12, 1988 1
Benchmark Citigroup 3-Month
Treasury Bill 2
Trustee Fee* 0.25% 3
Fiscal Year End December 31 4
Total Annual Operating
Expenses per $1,000 $2.50 5
Investment Style Stable Value 6
Trust Holdings Turnover 65.6% 7
Total Trust Assets $15,086,863,798
*Top holding
Reserves 4.9%
Synthetic Investment Contracts (SICs) 95.1
*asset diversification が以下のようになっており、
Corporate, Foreign, & Gov’t Entities 47.2%
U.S. Treasuries, Agencies, & Other 23.5%
Asset-Backed Securities 13.2%
Mortgage-Backed Securities 11.2%
Reserves 4.9%
*credit quality diversification が以下のようになっていました。
U.S. Treas* 15.4%
U.S. Govt Ag** 14.5%
AAA 16.5%
AA 6.0%
A 19.3%
BBB 22.5%
BB 0.1%
Short- Term 0.8%
Reserves 4.9%
以上の抜粋で、元本が保護できるファンドかどうか?確認つきますでしょうか?急ぎませんので、時間のある際、アドバイス頂けたら、非常に助かります。宜しくお願いいたします。
銀行預金(チェッキングアカウント)とキャッシュが一番強い、安全と自分も同感です、特に、証券兄さんのようにプロの知識を持たない私には当たり前のことかもしれませんが無駄な支出を減らし、キャッシュをセーブするのが一番有効な自己防衛かなと思っています。
ファンドの解説と、ファンドを見るうえでのポイントについて書いていきたいと思います。
ファンドの解説
Benchmark Citigroup 3-Month Treasury Bill ファンド概要:シティグループが運用する三ヶ月償還債のファンドです。債券は株式よりも比較的リスクが低いです。また、債券は償還の期間が短いほどリスクは低くなります。一般的に債券の償還は10年~20年が多いので非常に短い期間ですね。
また、このファンドはベンチマークになっています。ベンチマークとは株式でいうと日経平均225のようなもので、指標になっているということです。
ファンドのリスクは一般的に
ベンチマーク(指標)> インデックス運用 > アクティブ運用
なので安全性が高いと言えますね。
Trustee Fee* 0.25% 信託手数料 :米国の平均がわからないために一概には言えませんが、安めと言えるのではないでしょうか。実はこの手数料もリスクのポイントで、安ければ安いほどリスクを抑えることが出来ます。年リターンが多くても、手数料4%とかですと非常にリスクが高いですね。
日本では、0.25%は非常に安く1%ほどが安めの目安です。(最近は1%以下のものも多いです。)
Total Trust Assets $15,086,863,798 累計資産額 :150億ドル(約1.65兆円)ものお金がこのファンドにあります。これは、非常に大きな累計額です。
この累計資産額が少ないファンドですと、一部の資産家の意向次第ですぐに値段が上下してしまいます。大きければ大きいほど安全性が高いですね。
credit quality diversification 信用格付けの内訳 : 今回は債券のファンドなので次のようになっています。例えば国内株なら、自動車・IT・製薬…などのようになります。今回の内訳を確認すると、
U.S. Treas* 15.4% U.S. Govt Ag** 14.5% →米国政府銀行や基金なので米国がなくなるようなことが起こらない限り安全。
AAA 16.5% AA 6.0% A 19.3% BBB 22.5% → 債券の安全性は、AAAで10年で1万社に1社潰れるかもというほど安全性が高いです。格付け会社により細部は異なりますが、一般的にBBB以上が安全な債券と言われています。
BB 0.1% → 一般的にハイイールド債と呼ばれるリスクもリターンも高くなってくるランクです。しかし全体の0.1%なので危険性は少ないです。
Short- Term 0.8% → 短期貸付金のことです。1日で返済されるので危険性は皆無と言えるでしょう。
Reserves 4.9% →準備金。買い付けや損失のための現金と捉えてください。
以上のように、ファンドの概要・手数料・累計資産額・投資対象をみれば、どのようなものかは理解できるかと思います。iDeCoでお困りの方も参考にしてみてください。証券兄さんでよければ解説しますよ。
ファンドの考え方
ファンドの考え方は、非常に難しいです。なぜなら人によってとらえ方が違うからです。今回、海外在住者さんは「安全」という投資方針ですが、安全一つをとっても、
・ハイリスクハイリターン運用を長期的にして安全性を高める
・できる限りローリスクローリターンでいつでも安全
・世界各国に投資して場所的な安全をとる
・さまざまな業界の投資して業種的な安全をとる
など、簡単にあげただけでもこれだけ考え方があります。今回は、景気の後退、株式市場のクラッシュ等に左右されないなど株式に対するネガティブな印象があるため、債券のままがいいのではないかと証券兄さんは考えます。結果的に安心感などは自分が感じるものが一番大事ですからね。
さまざまな考え方はありますが、確定拠出年金は、前提として企業の補助がある、税金が優遇されているという点でプラスですね。自分にあった投資対象を探してください。
あくまでご参考までに。
今回も読んでいただきありがとうございました。疑問点や質問等がありましたらご意見下さい。次回もよろしくお願いします!
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証券兄さん 様
401k内訳の解説本当にありがとうございました。
TRUSTEE FEE(TRUST FUND MANAGEMENT FEE 同義語の理解で間違いないでしょうか?)の平均に関して、調べたのですが自分のウェブリサーチ能力では判明しませんでした、、。週明けにでもブローカーに電話で質問して見ます。ただ、リサーチ過程でTRUSTEE FEEに関する記事を読んだ所、アセットインベストがハイリスクの場合、トラストフィー%も高くなるとの定義でしたので、証券兄さんの解説のとおり、日本は1%で0.25%はローリスクなのだなと理解が深まりました。
債権のファンド内訳、全体的に非常にローリスクであることも漠然とでなく、証券兄さんの解説のお陰で自分の頭で理解することができました。ただ、1つ気になるのはAAA16.5% AA6.0%の債権ですね、何故かというと、格付け会社の失態?チョンボ?(仮に、ハイリスクにも関わらず、格付けを高く設定し流通しているとしたら、、ムーディーズ、S&Pを信じるしかないのでしょうか(汗))がリーマンショックの引き金だったと理解しているので、また、このAAAの内訳 詳細が気になる所です、知る方法はあるのか?ブローカーに聞けば教えてもらえるのでしょうか?
なるほど、安全1つとっても色々な考えがあるのですね、私は、401kに関してはこのままローリスクローリターンの債権案で行きます。
非常に勉強になりました、ありがとうございました。また、次回質問の際はよろしくお願いします。
海外在住者 への返信
海外在住者さん
コメントありがとうございます!
お力になれて幸いです。ただ、やはりあくまでも外野からの意見ですので詳しくはブローカーさんに聞いていただけると
間違いはないかと思いますよ。
ファンドの内訳に関しては、おそらく冊子またはデータで閲覧可能かと思います。日本の場合ですと目論見書(Prospectus だったと思います)というもの
がありそこに内訳がありますので、401kでお申し込みのファンドの目論見書があると思います。そちらで確認できると思いますよ。
また、債券の格付けに関しては「とりあえず信じるしかない」ということしか言えません。これに関してプロアマ関係なく正確なところを把握するのは
困難ですので、諦めていただくしかないです。
ただ、リーマンショックの際に格付け会社の隠ぺい・詐称行為があったため、米国では現在非常に監査が厳しくなっています。以前よりは信用に足るのではないでしょうか。
度々コメントを頂き本当にありがとうございました。これからも応援よろしくお願いします!