こんにちは!証券兄さんです。
前回米国の「雇用統計」に関して書いた際に、FRBが出てきました。なんとなく聞いたことがあると思いますが、詳しい仕組みと利上げに関して書いていきます。
FRBは米国の連邦準備制度理事会(Federal Reserve Board)の略です。
この理事会は全米に12ある連邦準備銀行と共に、さまざまな米国の金融政策を決定します。
つまり、米国における金融部門の最高機関です。
12の連邦準備銀行は、ボストン(マサチューセッツ州)、ニューヨーク(ニューヨーク州)、フィラデルフィア(ペンシルベニア州)、クリーブランド(オハイオ州)、リッチモンド(バージニア州)、アトランタ(ジョージア州)、シカゴ(イリノイ州)、セントルイス(ミズーリ州)、ミネアポリス(ミネソタ州)、カンザスシティ(ミズーリ州)、ダラス(テキサス州)、サンフランシスコ(カリフォルニア州)となっています。
米ドルはこの連邦準備銀行が発行しており、どの連銀が発行した紙幣かは、印刷されたアルファベット記号(AからL)を見ると分かる仕組みです。
FRBの目的とは
FRBの役目としては、「最大限の雇用」と「物価の安定」という二つの目的を果たすためにさまざまな金融政策を駆使することです。
例えば、「利上げ・利下げ」をするかどうか、するとしたら何%上げる(下げる)ことを目標とするのかを決めるのがFRBであり、その会合がFOMC(FRBのメンバー+連邦銀行総裁5人による会議)です。
「利上げ」とは何の金利を上げることかと言うと、「フェデラル・ファンド・レート」(FF金利)です。米国の場合、民間の銀行はフェデラル・ファンド(準備預金)を連邦準備銀行に預けなければなりません。フェデラル・ファンド自体は無利息です。このときの民間銀行同士の貸し借りの金利がFF金利と呼ばれます。
例えば A銀行とB銀行の2つがあるとします。A銀行は10億ドル、B銀行は100億ドルの余力があります。フェデラル・ファンドを5億ドルとすると、A・B銀行は連邦準備銀行に5億ドルずつ預金しなくてはいけません。A銀行は5億ドル、B銀行は95億ドルの余力となります。
ここでA銀行に5億ドルの融資の申し込みがあったとしましょう。A銀行としてはお金を貸したいのですが、貸してしまうと余力がゼロになってしまいます。
そこでB銀行に一時的にお金を借ります。この時の金利がFF金利です。
フェデラル・ファンドが3億ドルに変更となるとA銀行は余力が2億ドル残ります。なので無理してB銀行に借りる必要もありません。そうなるとフェデラル・ファンドが5億ドルの時より貸しにくくなるため、貸すためにはFF金利を下げる必要があります。
逆にフェデラル・ファンドが8億ドルに変更となるとA銀行は余力どころか3億ドルをどこからか集めなくてはいけません。そうするとB銀行としては金利を上げても借りてくれる人がいるのでFF金利をあげます。
「利上げ」とはこのようにFF金利を上げるということです。では「利上げ」するとはどのような状況でしょうか。
上に書いてあるようにFF金利を上げるということは銀行の余力が少なくなるということです。
余力が少ない→貸し渋りをする→経済の活動が停滞する
このサイクルになります。経済の活動が停滞するなら利上げなんてしなくていいじゃん!と思うかもしれませんが、停滞させる必要もあるのです。それは、
バブルを防ぐため
証券兄さんは経験したことがありませんが、実際に体験した方もいられると思います。経済を活性化させるのは非常に良いことなのですが、活性化しすぎると実態が伴わないものになります。(例:バブル時の東京23区でアメリカ全土を買える)
それがいきすぎると、その状況が破たんした時に大きなダメージが残ることとなります。それを防ぐためにFRBは金利の調整をしているのです。
しかし、「利上げ」となるとドル高円安や米国株高になります。これは一体なぜでしょうか。FRBが「利上げ」を決定するということはイコール、
米国の金融の最高機関が、景気が良いと認めている
となるからです。FF金利による停滞もありますがその効果はすぐに出るものではありません。しかし些細なことで値段が動く株式市場などでは、アメリカの景気が良い状態と認める最高のお墨付きなのです。
かなり大きな市場の動きの目安となりますので、FRBの動向や「利上げ」予測などしっかりとチェックしましょう。
ちなみに2017年現在、FOMCは年内あと2回の利上げを予想しています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。疑問点や質問等がありましたらご意見下さい。次回もよろしくお願いします!